ダイワ2202ピンボール

1. 概要

日本の静止気象衛星は、「ひまわり」という愛称が定着しているが、事情により「ひまわり」ではなかった時期もある。このページでは、それらも含めて、最近の静止気象衛星の情報をまとめる。なお気象衛星画像は、デジタル台風次世代気象衛星「ひまわり8号・9号」画像/動画で公(gong)開している。

2. 静止気象衛星の違い

これまでの静止気象衛星は、以(yi)下のように画像(xiang)センサの特性や静止衛星の位置が異(yi)なるため、衛星画像(xiang)を比較する場合(he)には注(zhu)意(yi)が必(bi)要である。

ひまわり5号 (GMS-5) ゴーズ9号 (GOES-9) ひまわり6号 (MTSAT-1R) / ひまわり7号 (MTSAT-2) ひまわり8号 (Himawari-8) / ひまわり9号 (Himawari-9)
可視 (VIS) 0.55-0.90 μm @ (1.25km / 6bits) 0.55-0.75 μm @ (1km / 10bits) 0.55-0.90 μm @ (1km / 10bits) 0.64 μm @ (0.5km / 11bits)
赤外1 (IR1) 10.5-11.5 μm @ (5km / 8bits) 10.20-11.20 μm @ (4km / 10bits) 10.3-11.3 μm @ (4km / 10bits) 10.4 μm @ (2km / 12bits)
赤外2 (IR2) 11.5-12.5 μm @ (5km / 8bits) 11.50-12.50 μm @ (4km / 10bits) 11.5-12.5 μm @ (4km / 10bits) 12.4 μm @ (2km / 12bits)
赤外3 (IR3) 6.5-7.0 μm @ (5km / 8bits) 6.50-7.00 μm @ (8km / 10bits) 6.5-7.0 μm @ (4km / 10bits) 6.2 μm @ (2km / 11bits)
赤外4 (IR4) 該当なし 3.80-4.00 μm @ (4km / 10bits) 3.5-4.0 μm @ (4km / 10bits) 3.9 μm @ (2km / 14bits)
観測頻度 1時間毎 1時間毎 全球1時間毎(南/北半球は1時間に2回) 全球10分毎
衛星位置(赤道上空約 35,800 km) 東経140度 東経155度 東経140度(MTSAT-2は東経145度で待機) 東経140.7度
観測範囲 GMS-5 Coverage GOES-9 Coverage MTSAT-1R Coverage Himawari-8 Coverage

なおひまわり8号はこれまでの観測波(bo)長(バンド)が16となり、これまでの5に比べると3倍以(yi)上(shang)に増えた。各バンドの役割は、のページに、以(yi)下のようにまとめられている。

バンド 中心波長(μm) 解像度(衛星直下点) 想定される用途 有効ビット数
1 0.47μm 1.0km 植生、エーロゾル、カラー合成画像 11
2 0.51μm 1.0km 植生、エーロゾル、カラー合成画像 11
3 0.64μm 0.5km 下層雲・霧、カラー合成画像 11
4 0.86μm 1.0km 植生、エーロゾル 11
5 1.6μm 2.0km 雲相判別 11
6 2.3μm 2.0km 雲粒有効半径 11
7 3.9μm 2.0km 下層雲・霧、自然災害 14
8 6.2μm 2.0km 中上層水蒸気量 11
9 6.9μm 2.0km 中層水蒸気量 11
10 7.3μm 2.0km 中層水蒸気量 12
11 8.6μm 2.0km 雲相判別、SO2 12
12 9.6μm 2.0km オゾン全量 12
13 10.4μm 2.0km 雲画像、雲頂情報 12
14 11.2μm 2.0km 雲画像、海面水温 12
15 12.4μm 2.0km 雲画像、海面水温 12
16 13.3μm 2.0km 雲頂高度 11

バンド数(shu)について見ると、初代(dai)「ひまわり」が赤(chi)外(wai)(wai)・可(ke)視(shi)の2つのバンドしかなかったのに比べると、「ひまわり8号(hao)」(以(yi)下「ひまわり9号(hao)」も同様)は8倍の向上である。バンド数(shu)は「ひまわり2号(hao)」・「ひまわり3号(hao)」・「ひまわり4号(hao)」まで2個(ge)のままだったが、「ひまわり5号(hao)」になって従(cong)(cong)来(lai)の赤(chi)外(wai)(wai)が赤(chi)外(wai)(wai)1および赤(chi)外(wai)(wai)2に分(fen)(fen)(fen)割(ge)(ge)されるとともに、新(xin)たに赤(chi)外(wai)(wai)3が登(deng)場して、バンド数(shu)は4となった。さらに次世代(dai)の「ひまわり6号(hao)」・「ひまわり7号(hao)」では赤(chi)外(wai)(wai)4が登(deng)場して、5個(ge)の波長で観測(ce)が行われていた。そして今回の「ひまわり8号(hao)」では、可(ke)視(shi)が3つのバンドに分(fen)(fen)(fen)割(ge)(ge)されたため、従(cong)(cong)来(lai)は白黒だったひまわり画像(xiang)(xiang)が、初めてRGBによるカラー合成(cheng)画像(xiang)(xiang)として作成(cheng)可(ke)能となった。また、赤(chi)外(wai)(wai)1と赤(chi)外(wai)(wai)2がそれぞれ2バンドに分(fen)(fen)(fen)割(ge)(ge)、赤(chi)外(wai)(wai)3が5バンドに分(fen)(fen)(fen)割(ge)(ge)されるとともに、新(xin)たに近赤(chi)外(wai)(wai)が3バンドで登(deng)場し、合計16となる(赤(chi)外(wai)(wai)4は分(fen)(fen)(fen)割(ge)(ge)なし)。

撮(cuo)影(ying)時間(jian)(jian)(jian)についても大幅な向(xiang)上が見られる。初(chu)代「ひまわり」では3時間(jian)(jian)(jian)ごとの撮(cuo)影(ying)しかできなかったが、「ひまわり8号」では10分ごとの撮(cuo)影(ying)が可能(neng)で、18倍の向(xiang)上である。実際(ji)のところ「ひまわり8号」は、西から東の走査(cha)を23回繰り返(fan)すと全球が撮(cuo)影(ying)でき、その所要(yao)時間(jian)(jian)(jian)は約5分である(より正確に言えば10分間(jian)(jian)(jian)の中(zhong)での非連続な5分間(jian)(jian)(jian))。「ひまわり7号」では1440回の走査(cha)が必要(yao)だったことを考(kao)えると大きな違いである。

また、より高頻(pin)度の観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)方法(fa)として「領(ling)域観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)」が用意(yi)(yi)されており、東(dong)西2000km南(nan)北(bei)(bei)1000kmの領(ling)域が2個(ge)(日(ri)本付近に固定(ding))、東(dong)西1000km南(nan)北(bei)(bei)1000kmの領(ling)域が1個(ge)、それぞれ2.5分(fen)(fen)ごとの観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)が可能である。また、東(dong)西1000km南(nan)北(bei)(bei)500kmの領(ling)域が2個(ge)用意(yi)(yi)されており、こちらは30秒(miao)(miao)ごとの観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)が可能である。これら領(ling)域観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)は上(shang)記(ji)の全球(qiu)観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)の間に挟み込まれており、日(ri)本付近の高頻(pin)度撮影の他に、台風や積乱雲など変(bian)(bian)化が激しい現象の観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)にも利(li)用することを想定(ding)している。30秒(miao)(miao)ごとの観(guan)(guan)(guan)測(ce)(ce)(ce)ともなれば、Time lapse撮影(微(wei)速度撮影)として積乱雲のダイナミックな変(bian)(bian)化を捉えるのに十分(fen)(fen)な頻(pin)度であり、防災への活用なども期待されるところである。

より詳しい情報(bao)は文献を参考にしてほしい。

3. 静止気象衛星の世代

WMOのによると、静止気象衛星の世代は以(yi)下のように分けることができる。

世代 衛星 期間
第1世代(Himawari) 1977-1989
1981-1987
1984-1995
1989-2000
1995-2003
第2世代(GOES) 2003-2006
第2世代(Himawari) 2005-2015
2006-2016
第3世代(Himawari) 2014-2030
2016-2030

世代によって標準的(de)なデータ形(xing)式も以下のように変化してきた。

  1. 第1世代:VISSR (Visible and Infrared Spin Scan Radiometer) / S-VISSR (Stretched VISSR)
  2. 第2世代:HRIT (High Rate Information Transmission)
  3. 第3世代:HS (Himawari Standard)

4. 「ひまわり後継機」問題の経緯

気象衛星(xing)「ひまわり5号」が所定の寿(shou)命に近(jin)付き、気象庁は後(hou)(hou)継(ji)衛星(xing)を打(da)ち上(shang)げることにした。その打(da)ち上(shang)げ日は1999年(nian)11月15日に設定された。もしこの日の打(da)ち上(shang)げが成(cheng)功していれば、ひまわり後(hou)(hou)継(ji)機となる「運(yun)輸多目的衛星(xing)1号機(MTSAT-1)」(後(hou)(hou)に衛星(xing)名は仮(jia)称(cheng)「みらい1号」だったことが明らかに)が「ひまわり5号」から気象観測を無事に引き継(ji)ぐはずだった。しかし、打(da)ち上(shang)げは失敗に終わった。そして、ここから混迷の時(shi)代が始(shi)まった。

この日の打ち上(shang)(shang)げ失敗(bai)をきっかけとして、まるでツキに見放(fang)されたかのように事態(tai)(tai)は悪い方向(xiang)に進み始めた。次々に難(nan)問が発生した。衛星(xing)の製造を担当していた会社(she)は倒産し、打ち上(shang)(shang)げへの利用(yong)を予定していたロケットは打ち上(shang)(shang)げ失敗(bai)。事態(tai)(tai)は一向(xiang)に好転(zhuan)せず、ひまわり後継機は打ち上(shang)(shang)げのメドすら立(li)たない状(zhuang)態(tai)(tai)に陥った。どうにもならない状(zhuang)況で、アメリカから衛星(xing)をレンタルして急場をしのぐことにもなった。

この悲(bei)観的な状況は、2005年2月26日(ri)(ri)にしたことで終止(zhi)符(fu)を打ち、2005年6月28日(ri)(ri)から後(hou)継衛星である「ひまわり6号(hao)」が気(qi)象観測を開始した。当初の打ち上(shang)げ予定(ding)から5年以上(shang)遅れの、待ちに待った後(hou)継衛星の観測開始となった。

2005年6月28日、日本の静止気象衛星は「ひまわり6号」に引き継がれた。これまで2003年5月22日から「ゴーズ9号」で運用してきたが、晴れて再び「ひまわり」シリーズに戻(li)ったことになる。なお「ひまわり6号」の最(zui)新情(qing)報については、でも随時紹介している。

主要年表

1999-11-15 H-IIロケットによる「ひまわり後継機」MTSAT-1の打ち上げが失敗 ::
2001-11-15 製品輸出許可手続きの遅れによりMTSAT-1Rの打ち上げが2003年初頭から2003年夏に延期
2002-05-10 MTSAT-1Rの打ち上げ遅延のため米国気象衛星「GOES-9」のレンタルを決定
2002-12-19 ひまわりからの観測引き継ぎのため米国気象衛星「GOES-9」が移動を開始
2003-04-22 赤外センサの不具合によりMTSAT-1Rの打ち上げを再延期 ::
2003-05-22 ひまわり5号からゴーズ9号への切り替え ひまわり5号からゴーズ9号へ
2003-07-15 MTSAT-1R製造元の米国スペースシステムズ・ロラール社が破産
2003-08-07 米国スペースシステムズ・ロラール社が追加経費として3000万ドルを請求
2003-10-12 MTSAT-1Rの製造続行の申し立てを米連邦裁判所が却下 :: :: ::
2003-11-29 MTSAT-1R打ち上げ予定のH2Aロケットが打ち上げ失敗 当日の気象衛星画像 :: :: :: :: ::
2004-01-30 MTSAT-1Rの2004年3月納入で合意 ::
2004-03-12 MTSAT-1Rの種子島への搬入を発表
2004-12-08 MTSAT-1Rの打ち上げが決定 ::
2005-01-19 MTSAT-1Rの打ち上げ日が2/24に決定 ::
2005-02-26 H-IIA F7ロケットによるMTSAT-1Rの打ち上げが成功 :: :: ::
2005-03-08 MTSAT-1Rが静止軌道に到達し「ひまわり6号」の愛称が決定 ::
2005-03-24 ひまわり6号の初撮影画像を公開 :: ::
2005-06-22 ひまわり6号への切り替えが6/28に決定
2005-06-28 正午からひまわり6号の正式運用を開始 :: デジタル台風:お知らせ:気象衛星「ひまわり6号」と移行期間について
2005-07-14 ゴーズ9号のデータ配信終了
2005-07-21 ひまわり5号の運用が終了 ::
2006-02-18 H-IIA F9ロケットによるMTSAT-2の打ち上げが成功 :: ::
2006-02-24 MTSAT-2の愛称がひまわり7号に
2006-05-11 ひまわり7号の撮影画像を公開 :: ::

ひまわり5号からゴーズ9号へ(過去記事)

「デジタル台風」などの研究プロジェクトで用いている気象衛星データは、主に太平洋赤道上空に静止する静止気象衛星から取得した画像である。その静止気象衛星の運用には、2003年5月22日に大きな変化が生じた。後継機の打ち上げ失敗のために、寿命を越えて危ない運用を続けていた「ひまわり5号(hao)(GMS-5)」が引退し、アメリカからレンタルした「ゴーズ9号(hao)(GOES-9)」への引き継ぎが実施されたのである(、、、、)。 

切り替え当日は無事に引き継(ji)ぎが終了(le)した()が、GMT時間で翌日になったとたんに、さっそくトラブル発(fa)生のようである()。この調子だと、月変(bian)わりなどの瞬間にもトラブル発(fa)生の危険あり? すんなり移行するのもなかなか難しそうだ。

切り替えからしばらく時間が経過しても、相変わらずゴーズ衛星はトラブル続きだ()、()。これらのトラブルは、急(ji)いで構築した受(shou)信設(she)備の不具合が原因のようではあるが、ゴーズ衛星自体も決して万全(quan)な状態ではなく、その画(hua)像は「ひまわり」衛星画(hua)像と比較してノイズが多く(特に可(ke)視(shi)画(hua)像)、一(yi)見して画(hua)質が悪いことがわかる。

なお、ひまわり5号からゴーズ9号への切り替え時期にちょうど発生していた台風200303号のページにも、関連(lian)情報(bao)を記した。

天気予報への影響(過去記事)

ゴーズ9号という中(zhong)古衛(wei)星を使(shi)うことによる、天気予報(bao)への影響はあるのだろうか? 確かに、ゴーズ9号気象衛(wei)星は、もともとあまりデキが良(liang)いものではなく、さらに設(she)計寿命(ming)をすでに大幅(fu)に越えていて故障の不安を常に抱(bao)えている。またアメリカからのレンタルということによる不自由や制約も多い。しかしそれでも、何もないより遥かにマシであり、たとえ中(zhong)古衛(wei)星であってもそこから得られる情報(bao)は膨大である。天気予報(bao)に必要な情報(bao)を観(guan)測(ce)するという観(guan)点から言えば、ひまわり時代(dai)と比べて実質(zhi)的(de)に大きな差はない、というのが現状ではないかと推測(ce)できる。

むしろ問題なのは、多(duo)様(yang)な情(qing)(qing)報(bao)を高精度で観(guan)測することにより天(tian)(tian)気(qi)予報(bao)を高度化する、という計画が頓挫していることにある。計画されているMTSATシリーズには、ひまわり時(shi)代には観(guan)測できなかった新(xin)(xin)たな波長での観(guan)測や、ひまわり時(shi)代よりも精密なセンサの装備(bei)が盛(sheng)り込まれている。このような新(xin)(xin)世代の観(guan)測技術の利用を前(qian)提(ti)に進んできた研究は、それを実(shi)地に試(shi)すことができないままストップしている。つまり、ゴーズ9号でも現状レベルの天(tian)(tian)気(qi)予報(bao)にはそれほど大きな影響はないが、天(tian)(tian)気(qi)予報(bao)のレベルアップができないという点(dian)にむしろ悪影響が大きい、というのが実(shi)情(qing)(qing)に近(jin)いだろう。

そして、寿命を過ぎたこの中古衛星がいよいよ故(gu)障すれば、天気(qi)予(yu)報にとって大(da)打撃の事(shi)態となる。もはや残された選択肢は極軌道(dao)衛星(地球を周回するタイプの衛星)のみとなるが、このタイプの気(qi)象衛星は観測(ce)間(jian)隔(ge)が長(chang)く観測(ce)範(fan)囲が狭いので、変化の激(ji)しい気(qi)象現象を常時(shi)監(jian)視(shi)する目的には不(bu)向(xiang)きなのである。いつ故(gu)障しても不(bu)思議ではない中古衛星に不(bu)安を感(gan)じなくてもすむよう、一刻も早い後継衛星の打ち上(shang)げが待たれている。

5. 気象衛星画像データベース

6. 関連リンク